North American International Auto Show

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デトロイトモーターショウ

Jan. 2003

その1

KAZのデトロイト凱旋は基本的に若者たちにお任せだったのだが、後片付け要員として 若者たちが帰国した後に入れ替わりで飛んだ。
あの『ロボコップ』の居る街”デトロイト”だ。オムニ社は治安の悪い市街地を一掃するために ロボコップを投入したわけじゃないか。現実のデトロイトの治安も噂通りに最悪なんだと。 学部生たちはデトロイト市内のモーテルに宿泊していたのだが、強盗に入られたりと 散々な目に会ったそうだ。おかげで私たち後発組は安全な田舎町、川の対岸のカナダ・ウィンザーに 泊ることを許された。日本も安全とは言えなくなってきているが、目の前に危険のあるアメリカ って国は、やっぱり怖い。
飛行機も「最悪だ、乗るの止めなさい」とまで言われてしまうけど、NW。 マイル貯めてるわけじゃないからどこでもいいのだが、直行便で安かったから。 そう、デトロイトはNWのハブ空港なので成田からは一直線なのだ。 でも、「事件」の話を聞いた後に降り立つアメリカ。ビビるぜ、やっぱり。

カナダからみたデトロイト。 対岸にはGM本社など大都会なんだが、対岸のカナダは超に超が付くぐらいの田舎町。 遅番でショウが終わる時刻になりゃ、飯を食うところにも困る。
しかし、この地方の1月ってのは強烈な寒さだ。アメリカでは華氏表示なので、 アメリカのテレビじゃ気温何度なのかさっぱり分からないが、カナダ側は 辛うじてメーター法の国。「摂氏で言うと『マイナス・ダブル・デジット』だと??」 「おぉー、マイナス二桁なのかよー」というそんな気温を初体験。川だって凍る。
外に出ていると息をするのが苦しいくらいの寒さだが、中は暖か。 人が溢れている。デトロイトショウというは、 あまりコンセプトカーのようなものは重要ではなく、実際に売られている 車を飾ることが重要なのだと。 というのも、ジュネーブショウなどはバイヤーたちが集まる商品展覧会 なのだが、デトロイトはエンドユーザーが中心。 アメリカのイベントには付き物の「教育デー」というのもやはりあり、 お子さまは沢山来るし、学生たちがお相手してメインのお客さんは、 リタイヤしたオジイサンたちだったという。
会場の地下会場に設置されたKAZ。
この色になってから、ソウルショウへ行ったりとあまり自分自身にも 馴染みが感じがしますが、個性ということは、このアメリカという国では 必要なことでしょう。10人中8〜9人が「良い」というより、 100人中3人が「この上なく好き」と言えることが、このタイプの商品、 また新規参入しようとするものには必要な要素になるとおもいます。 自分自身が「とても好き」だと考えるモノを生み出すことが 一つの近道だと言えますけどね。
市場性調査のため「Order Now!」と掲げられた正面。 ちょっと恰好悪いかな。
何にしろ存在感はありました。 ブースは、正面が大学のカーデザインの展示。 正面隣は軍用車両の展示。隣がウォッシャータンクの水を温める装置の会社、 またその隣がミシガン大学のソーラーカーチームという配置でした。 ウォッシャータンクの会社でない側はVWのブースでしたが、柱があって 仕切られていました。
たまにはブースを飛び出して、お出かけです。
GMのFCスケートボードシャシの「オートノミー」の展示ボード。 薄型の平らなシャシと電気モーター駆動という点で、 KAZの集積台車のコンセプトと似ています。 中央部分は圧縮水素ボンベのため厚みがKAZのシャシの凡そ倍程の厚みで、 床は高くなる感じ。燃料電池はリアに搭載されていますが、さらに一段 高くなっています。 KAZに比べて優れているのは、コンセプトカーなので操舵系の バイワイヤ化に拘っているところ。KAZでは実走行車両であり信頼性が必要で、 さらにタイヤが多いこともあり、ステア系にとってアルミ押し出し材のフレームが 邪魔な位置にきてしまう。 またKAZでは床の前後からしか内部のコンポーネントに アクセスできないが、角材のパイプでスペースフレーム的に構成しているので、 柔軟性は高そうだ。実験をするには都合がよさそう。
オートノミーに載せるコンセプトボディー「Hywire」の室内。 この椅子では座っているのが辛かろう。 フラットだが床の位置は高く、かといって車両の全高上げたくないので、 ヒップポイントが下がり逆に膝が上がる、いわゆる「体育すわり」ですね。 膝の位置が高いと疲れるので、この場合にはスポーツカーのような 足投げ出しスタイルで座るしかない。 フラットな床では、ドラポジがこうなりがち。 KAZは比較的全高が高く、室内高もまだ取れるのでヒップポイントを落とさないで 成立させているが、ルシオールでは床からお尻までの高さがやはり 低くなるために、この「Hywire」な椅子の罠にはまっている傾向がある。
オートノミーから、Hywireのリアをのぞむ。
Hywireには20インチと大径のホイールを履いているので、 プロポーションとしては、結構恰好良くみえる。 やっぱり、タイヤはでかい方が恰好いいように見える。 ただ、ショウモデルというのは車両全体でみてもデカイ。 小さい車じゃ、貧乏くさくしか見えないので、ショウモデルは一般的に 大きく作るそうだが、その例に漏れずデカイ。
「デカイ」といえば、やはりマイバッハ62だろう。 日本では4500万円ぐらいだそうだが、Sクラスの5.5リッターツインターボで550馬力。 全長が6.2m、全幅2m、重量約3トンとくりゃ、KAZ並に乗用車としては巨大なクルマだ。 しかしKAZに見慣れているせいか、ホイールベースが長い割に背が低く、 275/50R19というタイヤが付いているだけでは貧弱な感じがする。 この点では後に出てくるロールスの方がイイ感じ。
車内、後席の様子。
前席の背中をぶち抜かなくても足が伸ばせます。
こちらがロールスロイスのファントム。 こちらは6750ccV12のBMWエンジン。 ピラーの残る観音開きドアになっております。
ファントムのタイヤは、PAXなのでわかりにくいですが、 「365-790R540A」となっておりました。 PAXの解説によると、ビードを除いたタイヤ幅365ミリ(広っ!)、 空気を入れた外径が790ミリ(デカッ!)、Rはラジアル構造で、ビードシートの径が 540ミリの、Aはアシメトリなビードシートですということらしい。 幅はもとより、外径が80センチ近いタイヤってのは、デカイっす。

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